第2回 意思決定
企業の定義
企業や組織、人々は日々の活動の前提として、何らかの情報と価値前提をもとに思考やプロセスを通じて、解決策を複数考え、それらを実行可能性や効果などを基に選別し、最良の解決策を決定し、その結果として行動が表面化されています。
これら一連の活動を「意思決定」と呼びます。
企業は顧客満足を獲得するために、良い製品の開発や流通経路の短縮化、チャネルの拡大や縮小、資金繰りや与信管理など、様々な課題を日々解決していかなければなりません。
それらを解決する事によって、他社よりも付加価値を付け市場に受け入れられ、利益を獲得する事が可能となります。 すなわち、企業活動は意思決定の集合体と見ることが出来るのです。
そこで、この意思決定のフレームワークを解明し企業の望ましい活動に導くことを目的として、意思決定の法則性を見出そうとという側面から考えてみたいと思います。
ここではサイモン(Simon,H.S.)の研究を中心に意思決定について考えます。
サイモンによる意思決定プロセス
サイモンは意思決定を下記の4つのプロセスからなると規定しています。
@情報活動 | ・・・ | 問題の発見と識別 |
A設計活動 | ・・・ | 問題解決の代替案の設計 |
B選択活動 | ・・・ | 代替案の中から最適なものを選択 |
C検討活動 | ・・・ | 選択した代替案の成果の分析と評価 |
サイモンは全ての意思決定に共通するプロセスを規定しました。
しかしながら、我々が日々の経営活動において行なう意思決定には、問題の大きさや状況などから様々な種類の意思決定が存在します。
作業者が製造部全体の生産計画をもとに、本日の作業内容を組み立てる場合の意思決定と、経営者が外部環境・内部環境分析から、自社の方向性を導きだす時の意思決定では、意思決定までの時間や関係者への影響度合いなどにおいて、かなりの違いが見られます。そこで、研究者達は様々な意思決定の種類について考察していますので、紹介します。
バーナードによる意思決定の分類
最初は「意思決定を行なう主体は誰か?」に着目して、意思決定の種類を分類したバーナードです。バーナードは意思決定の主体(誰)を個人と組織に分類しました。そして、個人と組織によって意思決定が行なわれる前提条件である「目的」が違うと定義してます。
個人的意思決定
個人が個人の目的を達成するための意思決定
組織的意思決定
個人が所属する組織の目的を達成するための意思決定
サイモンによる意思決定の分類
サイモンは意思決定を日常的なのか、非日常的なのかに分類しました。そして、日常的か非日常的かで問題の大きさ、複雑さが違うと定義してます。
定型的意思決定
問題が簡単であり、その問題解決のための意思決定プロセスが過去の経験則などから導き出せる意思決定。
非定型的意思決定
問題が複雑であり、その問題解決のための意思決定プロセスは過去の経験則などから導き出すことができない意思決定。
アンゾフによる意思決定の分類
アンゾフは意思決定を組織構造の階層によって分類しました。所属する組織の階層によって意思決定の種類が違うと定義してます。
戦略的意思決定
企業が外部の環境変化に適応し存続していくための方向性に関する意思決定。
管理的意思決定
戦略的意思決定を受けて、組織の編成や資源の調達・運用と各組織間の統合など、戦略を実際の戦術に落とし込む意思決定。
業務的意思決定
管理的意思決定を受けて、日々の業務を効率的に行うための意思決定。
意思決定の分類構造
バーナード、サイモン、アンゾフと3人の研究者達による意思決定の分類を紹介してきましたが、これら3つの意思決定は、構造的に視覚で確認することにより、さらに理解がし易いです。バーナードが分類した「個人」と「組織」の意思決定は右脇に、そしてサイモンとアンゾフによる意思決定がピラミッドの中に分類されてます。
意思決定の構造

組織に所属する個人は何らかの目的達成の手段として、組織に所属します。組織は個人に対して、組織の目的を達成することにより、個人の目的も達成可能だということを示します。この関係が個人的意思決定と組織的意思決定と言う事になります。
次に組織的意思決定の中身について考えてみます。組織的意思決定は、その対象となる問題の管理的要素によって戦略的意思決定と管理的意思決定、業務的意思決定に分類できます。また、問題の構造により非定型的意思決定と定型的意思決定、それと中間に位置する準定型的意思決定に分類できます。
計画におけるグレシャムの法則
中小企業は人材が不足しがちであり、また経営者が実務からのたたき上げの場合が多いことから、経営者が定型的意思決定(日常業務)に忙殺され、本来しなければならない非定型的意思決定(経営業務)を放棄していることが見受けられます。
つまり、従業員に委譲できるはずの日常業務に忙殺され、経営者の重要な業務である会社の方向性の決定や戦略案の策定ができないような状態を「計画におけるグレシャムの法則」といいます。
まさにこの状態に陥っている経営者は権限・責任委譲のために、教育訓練や新規採用を考え、長期的視点で改善することが望まれます。
このままでは、経営者不在の企業体であり、船長のいない船のようなものです。経営者不在の企業体が今後、成長することは考えられないことは理解できるかと思います。
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2014/07/27
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2008/02/17
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