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第3回 損益計算書

損益計算書の役割

損益計算書とは読んで字のごとく「損と益を計算する書」です。

貸借対照表が会計期間の最終日(決算日)における企業の財政状態を示す表と解説しましたが、損益計算書は会計期間中の経営活動に対する、利益と損失を計算する書です。

損益計算書も貸借対照表同様に、企業は決算申告の際に必ず作成し提出しなければなりません。

損益計算書は会計期間における、経営活動の成績はどうだったかを「利益と損失」の関係で表わす役割を持っています。

貸借対照表・・・ある一定時点の財政状態

損益計算書・・・会計期間中の経営成績

※損益計算書と貸借対照表の関係図を下に示しました。

貸借対照表と損益計算書の関係図

貸借対照表と損益計算書の関係図

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損益計算書を見てみよう

さっそくですが、損益計算書を見てみましょう。

売上高(損益計算書)

売上高の金額は会計期間に「実際に売上げた金額」を表示しています。

実際に売上げた金額の部分を強調させていただきましたが、実際に売上げたと言うのは会計期間中に売買契約が成立し取引が実行された物の事です。

少しややこしい記述なってしまいましたので、以下例を挙げて説明したいと思います。

=以下「実際に売上げた金額」にあてはまらない代表例=

1.受注しているが商品は渡していない。

2.お金は頂いているが商品は渡していない。

これらの行為は、売上高に含まれない取引となります。

1では注文を頂いているのみであり、商品を渡していない状況です。一般消費者向け商店であれば「商品の予約」みたいなものです。

2では注文を頂き、さらにお金まで先払いにて頂いている状況です。会社にとってはありがたいお客様ですね。しかし、この取引行為も1と同じく商品を渡していないため、売上高とはなりません。

ちなみに、先払い頂いたお金は貸借対照表の資産の部にて「前受金」と言う形で処理されます。

この上記2つでは、どちらも商品をお客様に渡してはいないですね!

売上高を計上する基準は商品を渡したかどうかにあります。

逆に商品を渡したが、代金を頂いていないのは売上高計上される行為となります。

売上原価(損益計算書)

売上原価には実際に売上げる為にかかった原価が集計されますが、集計方法は商企業と製造業において、計算方法が変わってきます。

=商企業の場合=

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高−期末商品棚卸高

商企業では商品を仕入れて、加工せずに販売しています。
その為に計算方法はシンプルとなっています。

期首商品棚卸高・・・今期の初めに実際に手元に有った商品の総額(在庫高)です。

当期商品仕入高・・・今期中に仕入れた商品の総額です。

期末商品棚卸高・・・期末に実地棚卸しをして把握した商品の総額(在庫高)です。

=製造業の場合=

売上原価=期首製品棚卸高+当期製品製造原価−期末製品棚卸高

製造業では材料や部品を購入もしくは支給され、社内において製造プロセスを経て、製品として販売しています。そこで、商企業ではなかった「当期製品製造原価」という項目が追加されています。

当期製品製造原価は別紙「製造原価明細書」にて計算される項目であり、損益計算書の添付資料として作成されます。詳細は次回(第4回 製造原価明細書)

期首製品棚卸高・・・今期の初めに実際に手元に有った製品の総額(在庫高)です。

当期製品製造原価・・・今期中に製造した製品の総額です。

期末製品棚卸高・・・期末に実地棚卸しをして把握した製品の総額(在庫高)です。

さて、商企業・製造業と2種類の原価の把握方法を紹介しましたが、両方の計算方法を眺めていると、原価の本質が見えてきます。

2種類の計算方法は両方とも、今期に実際に販売した商品・製品の総額を求めている事が解ります。

それは、期首棚卸高と期中の仕入高(生産高)を足して、期末に残った在庫高を引いている所になります。つまり、原価とは実際に販売して手元から無くなった商品のみが原価として計上され、単純に仕入れた金額の総額ではありません。

まれに「仕入れた金額=原価」と間違て理解されている企業の担当者も見受けられますので、理解しておいてください

売上高総利益(損益計算書)

売上高総利益とは売上高から売上原価を引いた利益の事です。一般に売上高総利益のほかに「売上高利益」「売上総利益」「粗利益」など様々な呼ばれ方をしています。

損益計算書では売上高総利益のほかに「営業利益」「経常利益」「税引前当期利益」「当期利益」と5種類の利益項目がありますが、1番最初に出てくるのが「売上高総利益」となります。

売上高総利益は売上高から売上原価を引いて求められています。

売上高総利益=売上高−売上原価

これは、企業の扱っている商品(製品)の収益性の結果を示しています。

企業の損益計算書において、この売上高総利益が「マイナス」になることは考えられないですが、単品商品(製品)を考察してみて、この売上高総利益がマイナスになるようであれば、素早い対応策が必要となります。

商企業では簡単にこの利益を把握する事ができますが、製造業においては、この売上高総利益を把握するのに原価計算が必要となり、時間と労力がかかります。中小企業では「ざっくり」計算されている場合も多いですが、しっかりと見ておきたい数字です。

販売費及び一般管理費(損益計算書)

販売費及び一般管理費とは、企業の通常の営業活動において生じた、販売費用と管理費用が計上されます。一般的に「販管費」と省略して呼ばれています。

販売費及び一般管理費の主な勘定科目

役員報酬・・・役員報酬として支払われた額

給料手当・・・給料及び手当と支払われた額

雑給・・・アルバイト及びパートさん達に支払われた額

退職金・・・退職金として支払われた額

法定福利費・・・社会保険等の会社負担額

福利厚生費・・・福利厚生として支払われた額

教育費 ・・・社員教育費として支払われた額

外注費・・・外注に支払われた額

荷造運賃・・・荷造り経費及び運送費に支払われた額

広告宣伝費・・・プロモーション等の広告費に支払われた額

交際費・・・顧客との飲食やお中元・お歳暮等に支払われた額

会議費・・・会議に利用する為に借りた会議室、飲食費、雑費等の額

旅費交通費・・・高速代、燃料費、運賃などに支払われた額

通信費・・・電話、インターネット、郵送などに支払われた額

販売手数料・・・

消耗品費

事務用品費

修繕費

新聞図書費

諸会費

支払手数料

地代家賃

車両費

賃借料

リース料

保険料

租税公課

原価償却費

研究開発費

販管費に集計される各項目は、あくまでも「販売及び管理」の為に支出した費用に限られます。

製造業においては、製造目的の為に支出した費用がありますが、それらは全て「製造原価明細書」にて集計される事になりますので注意してください。

=製造原価明細書に集計される具体例=

1.製造現場の工員に支払う給料(製造労務費)

2.製造工場の家賃

3.製造工場の電力費

4.製造設備の原価償却費 などなど・・・

営業利益(損益計算書)

さてここで、損益計算書2つ目に利益項目である「営業利益」が登場してきます。

営業利益は売上高から原価を引いて、さらに販売費及び一般管理費を引いた金額です。

営業利益=売上高−原価−販売費及び一般管理費

上記の式から考察できるように、営業利益は企業の営業活動における、収益性の結果を示しています

営業外費用(損益計算書)

営業外費用とは、企業の営業活動以外の活動においてかかる費用のうち、経常的にかかる費用の事です。

経常的とは突発的に発生する費用ではなく、通常の経営活動において発生する費用を言います。

営業外費用の主な勘定科目

支払利息・支払割引料・・・

有価証券売却損・・・

有価証券評価損・・・

売上割引・・・

雑損失・・・

営業外費用項目は、経営陣に経営手腕が問われるところであり、経営意思決定において少しでもコスト削減できる可能性があるところです。

しかしながら、日頃見落としがちとなる項目でもありますので、経営陣はしっかりと、営業外費用の項目を考察したいところです。

営業外収益(損益計算書)

営業外収益とは、企業の営業活動以外の活動において獲得した収益のうち、経常的に回収できる収益の事です。

営業外収益の主な勘定科目

受取利息・・・

受取配当金・・・

有価証券売却益・・・

仕入割引・・・

雑収入・・・

経常利益(損益計算書)

さて、ここで3つ目の利益項目である「経常利益」が登場します。

経常利益の計算は営業利益から営業外費用を引き、営業外収益を足して求められます。

営業外収益(費用)では、営業外活動のうち経常的に発生する収益(費用)が集計されておりました。
すなわち、経常利益とは
「企業活動のうち経常的な活動によって獲得した利益(損失)を表わしている」
と言えます。

営業利益では毎期「プラス」の計上となるが、経常利益において毎期「マイナス」となるのは、どこか改善の余地が残されているはずです。

特別損失(損益計算書)

上記の段階において、企業の経常的活動における収益が計算されました。

企業の経営活動における損益を計算するには、その他「まれに発生する事項」での損益、すなわち「特別損失」と「特別利益」を加味する必要があります。

特別損失の主な勘定科目

固定資産売却損・・・

投資有価証券売却損・・・

災害損失・・・

前期損益修正損・・・

特別利益(損益計算書)

特別利益では、特別損失の逆の場合を想定していただければ、その項目が見えてきます。

特別利益の主な勘定科目

固定資産売却益・・・

投資有価証券売却益・・・

前期損益修正益・・・

税引前当期利益(損益計算書)

さて、4番目となる利益項目である「税引前当期利益」を見て行きましょう。

税引き前当期利益の計算は、経常利益から特別損失を引き、特別利益を足して求められます。

今期の決算書を覗いてみて下さい。

経常利益がプラスになり、税引前当期利益でマイナスの場合・・・
経営陣の経営責任が問われるところです。

経常利益がマイナスであり、税引前当期利益がプラスの場合・・・
一見利益プラスであり、良さそうに見えますが、通常の経営活動においてマイナスなので、来期以降に税引前当期利益でマイナスになる可能性をはらんでおります。

この税引前当期利益では、当期の経営活動における利益をあらわしておりますが、また当期の課税前利益を表わしているところから「税引前当期利益」と呼ばれます。

当期利益

当期利益では税引前当期利益から「法人税等」を差し引いた、実質の利益が表わされます。

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