第4回 製造原価明細書
製造原価明細書の役割
さて、前回は「損益計算書」について、その役割と各項目の意味などについて解説しました。
その中で「製造業では原価を把握する際に製造原価明細書を損益計算書の添付資料として作成・提出する義務がある」と解説しました。
製造原価明細とは製造業において当期に販売した製品の製造原価を把握するために、計算される製造業特有の財務諸表となります。
商品を購入(仕入)し販売する商企業においては、商品の原価は購入(仕入)費用となります。しかしながら、材料や原料、部品や半製品などを購入して社内にて製造プロセスを経て販売する製造業(メーカー)では、販売した製品の原価は製造にかかるコストの全てとなります。
製造にかかる全てのコストとは、
1.原料、材料、部品、半製品等
2.製造に携わった人への給料
3.工場の家賃や機械・設備、水道光熱費、運搬等
の事を言います。
これら3項目の、製造にかかるコストを計算する為に用いられるのが「製造原価報告書」と言う事になります。
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その理由は…
製造原価明細書を見てみよう
さっそくですが、製造原価明細書を見てみましょう。
当期材料費
当期に製造プロセスに投入した材料費の全てを金額で表わします。投入した材料費の全てであり、購入した材料費の全てでないので注意してください。
当期材料費は以下の計算式で求められます。
期首材料棚卸高+当期材料仕入高−期末材料棚卸高
損益計算書の原価把握と同じ考え方ですね!当期において製造プロセスに投入された材料費のみを原価に繁栄されるように、前期末に残っていた材料費をと今期に仕入た材料費を足して、今期末に残った材料費を引いています。今期末に残った材料は製造プロセスに投入されていませんので、原価に繁栄させず、逆に前期末に残っていた材料は製造プロセスに投入したものとして、計算式が成り立っています。
「前期末に残っていて、今期末にも残っている材料は?」と言う質問があるかも知れませんので、はじめに答えてきます。
前期も今期も同様に残っていた材料は今期末に材料費の計算で引いておりますので、材料費に繁栄されておりません!
当期労務費
当期労務費では、当期において製造に携る従業員たちの人件費の総額が集計されます。
人件費には給料・賞与をはじめ、社会保険料などの会社負担額(法定福利費)や従業員の昼食代(福利厚生費)などが含まれます。
これら、製造に携わる従業員たちの人件費の事を一般的に「労務費」と呼びます。
当期経費(製造原価明細書)
さて、上記において製造にかかる費用のうち「材料費」と「労務費」について集計してきました。
経費項目ではこれら「材料費」「労務費」に含まれない費用が集計されます。
製品を製造するためには、場所(土地・建物)を確保し、製造するために必要な機械や設備を置いて、軽工具類を用いて作業していきます。また、工場の中の照明や水、生産途中では汚水やゴミなども発生します。これらにかかる費用の全てが「経費」として当期経費に計上されることになります。
簡単に言うと「当期経費」には「材料費」や「労務費」に含まれない全ての製造費用と言う事になります。
当期総製造費用(製造原価明細書)
当期の製造活動において発生した「材料費」「労務費」「経費」が集計されて当期総製造費用が算出されます。当期総製造費用とは金額はあくまでも当期の総製造費用であり、当期の総製造原価でない事に注意してください。
あくまでも、当期に発生した製造費用です!
仕掛品(製造原価明細書)
さて、仕掛品ですが、非常に中小企業の製造業において管理する事が難しい項目の一つです。
仕掛品とは製造プロセスへ投入されたが、いまだ完成していない製品の事です。すなわち製造ラインの真っ只中にある製造中の製品と言う事です。
厳密な原価把握の為に、この仕掛品を原価に加味しなければなりません。そこで、当期総製造原価に期首仕掛品額を足して、期末の仕掛品がを引く作業が必要になってきます。
当期製品製造原価(製造原価明細書)
こうして計算され算出した金額が当期製品製造原価と言う事になります。この数字がそのまま「損益計算書」に転記され当期の原価が厳密に計算される事になります。
「損益計算書」と「製造原価明細書」の関係

このように、製造業においては原価を把握するのに非常に複雑かつ大変な作業が必要となってきます。中小企業においてはこのような理由から厳密な原価把握が出来ない企業も少なくありません。
しかしながら、経営戦略に登場した「コストリーダーシップ」戦略などはこの原価把握が絶対に必要な条件となりますので、是非、御社においても頑張ってみてください。
なお、原価把握は専門的な税理士や会計士にお願いする方法もありますが、是非、社内において出来るようにしておく事が良いでしょう。最初は専門家にお願いしても、徐々にその方法を覚えて社内の強みにしてください。出来ない企業が多いのは、反対に考えると出来る企業の強みとなります。
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