第5回-4 総資本当期利益率（ROA）

総資本当期純利益率とは

企業が活動するうえで、投下した資本に対して「営業利益」と「経常利益」は効率的に活用されたのかを判断する為に、２つの指標を用いて前回まで解説してきました。

そして、総資本と利益の関係を判断する指標として最後に紹介するのが、総資本当期純利益率となります。

専門用語では「ROA（return on assets）」と呼ばれ、資本の効率性を判断するうえで非常に重要視される指標の一つです。

基本的な考察の方法は前回までの「総資本営業利益率」や「総資本経常利益率」などと同様に「総資本当期純利益率」では「投下資本に対して企業はどれだけ利益を獲得する事ができたのか？」を判断する、資本の効率性を判断する指標として用いられます。

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総資本当期純利益率の良否判断

少ない資本で多くの利益を獲得するのが望ましいので、総資本当期純利益率は高いほうが良いと判断できます。

当期純利益(↑)	×	100	＝	総資本当期純利益率（％）(↑)
総資本（総資産）(↓)

総資本当期純益率を改善するには

総資本当期純利益率を改善するためには、当期純利益を向上させる必要があります。

そこで当期純利益の項目を見てみると固定資産売却損（益）や投資有価証券売却損（益）など、資産項目に計上されている科目が目立ちます。

資産項目に計上されている、固定資産を売却し手放した際に、特別利益もしくは損失として、損益科目に計上されるのです。

この辺も踏まえて、以下に解説してみたいと思います。

特別損失（利益）項目をもう一度ご覧ください。

・固定資産売却損（益）
・投資有価証券売却損（益）
・災害損失
・前期損益修正損（益）
上２項目は完全に資本とリンクした項目です。固定資産を売却すれば、資本勘定は減少します。また、投資有価証券も同様に資本勘定を減少させます。

すなわち、上２項目に関しては企業活動をしていく過程で「ほとんど利用されない」「価値が無い」など、判断された場合は今期の利益率を下げる事になろうとも、次期以降の総資本当期純利益率を改善するために、損をとり売却する必要があります。

1年目・・・不良固定資産を売却し特別損失を計上

２年目・・・固定資産が減少したが、当期純利益は現状を維持

上記のように、１年目に当期純利益を犠牲にして不良資産を売却することにより、２年目以降は総資本額が減少したため、総資本当期純利益率」が改善されます。